宇宙エレベーターとビジネス

 少し前から、宇宙エレベーターというものがメディアで取り上げられるようになりました。

 進んでいるのでしょうかね?

 リニアモーターカーでさえ、私の物心がついたときから、そういう時代がすぐにやってくると言われていたのにまだまごついていますし。

 これに本気で取り組むとなるとピラミッド建設どころではない人類最大の事業になりそうです。

 多くの企業にとってもビックビジネスになるはず。

 

1.宇宙エレベーターの課題

 宇宙エレベーター協会(一般社団法人)という団体を見つけました。
 http://www.jsea.jp/index.html

 このサイトによると、赤道上、高度3万6000キロメートルの人工衛星が地球の自転と同じだとあります。

 そうすると、少なくとも、赤道上に高度3万6000キロメートルの位置に静止衛星的な拠点を作る必要があります(地球の自転と同期していないとエレベーターを地球に結合できないから)。

 まず、この3万6000キロメートルは途方もない長さです。

 地球を1周するエレベータをつくるようなものです。

 仮にそれができたとして、昇降速度は時速何キロぐらいが可能なのでしょうか?

 仮に100km/hの速度が可能だとしても静止軌道上までは360時間(15日間)かかります(近年のエレベーターは最高レベルで70~80km/hあたりか)。必要となる電力もハンパなさそう。

 また、途中でデブリ隕石に激突するおそれもあります。

 おそらく静止軌道上に一定レベルの基地を建設するまでがメチャクチャ大変なのでしょう(それを超えたら爆発的に進歩しそうな予感)。

 現在ではインターネットのケーブルが地上や海底など地球中にはりめぐらされているわけですから、宇宙エレベーターそのものはそう遠くない未来に実現されると予想します。

 

2.宇宙エレベーターに関連する技術、業界(建築、製造業)

 エレベーターと名がつくからエレベーターメーカーが最も関係するなんてことはさすがにないでしょう。

 巨大な構造物ですので、それを実現するのに建設業の力は外せないでしょう。

 下表は売上、従業員数、特許出願数が多い企業をピックアップしたものです(売上高、従業員数は就職四季報2018年版(東洋経済新報社)から、特許出願数は昨年、特許情報プラットフォームで調べたときの数値)。

 

売上高
(億円)

従業員数
(人)
特許出願数
(2010年以降)
株式会社大林組 17,778 8,402 1,462
鹿島建設株式会社 17,427 7,527 1,312
清水建設株式会社 16,649 10,466 1,771
大成建設株式会社 15,458 8,072 1,657
株式会社竹中工務店 12,843 6,795 1,126

 ネットを検索すると大林組2050年の完成を想定した構想を打ち出しています。
 https://www.obayashi.co.jp/recruit/shinsotsu/challenge/spaceelevator.html

 上記サイトによると、ケーブルの総延長9.6万キロということ。実現は可能だとしています。

 この長大なケーブルを実現させる技術としてよく取り上げられるのがCNT(カーボンナノチューブ)です。

 炭素繊維に関して取り組んでいる企業(特許出願数が多い企業)については以前取り上げたことがあります。

 炭素繊維の特許が多い企業

 こうした企業の技術が宇宙エレベーター実現に関係してくるのかもしれません。

 また、炭素繊維に限らず、大気上層の反応性が大きい原子や宇宙線などに耐え得る素材技術は欠かせないはずです。

 

3.宇宙エレベーターに関わるリスクとビジネス(サービス業)

 無事に宇宙エレベーターが完成したとしても地上から宇宙まで、人為的なものから自然災害まで、様々な脅威があります。

 事故が発生して上空から何万キロメートルのケーブルが降ってきたら一体どうなってしまうのか・・・。

 個人的には再生可能エネルギーで普及しはじめた風力発電が頭に浮かびます。100メートルを超える巨大な風車はしょっちゅう事故が起きています(応力がかかる部分の摩耗や落雷などの自然災害によるものなど)。

 100メートルレベルの単純な構造物でさえこうなのですから、何万キロメートルの宇宙エレベーターにおいて事故を無視することはできません。事故は必ず起こると考えるのが妥当でしょう。

 そこには損害保険業界が関係してきます。

 ただ、史上初の構造物に確率論である大数の法則は適用できません。保険会社はどうやって事故リスク見積もるのか・・・。

 また、何万キロメートルの長さのどこかに異常がないか、常に保守点検しなければなりません。これにはかなりの技術力が求められそう。一本のケーブルのどこかに異常が見つかったとして、どうやって復旧させるのでしょうかね。メンテナンスだけでも巨大ビジネスになりそうです。

 

4.宇宙エレベーターのスペックは?

 宇宙エレベーターが完成したとして、どれだけの速さで物資を宇宙に運ぶことができるのでしょうか?

 これがわかれば今後の宇宙開発のロードマップが作れます。

 人類が宇宙空間に基地を増設していくのは、アリが巣を掘り進めていく際に土を地上に運び出すのに似ていると感じます。気軽に宇宙に飛び出すことができる時代が100年後になるのか、1000年後になるのか、1万年後になるのかはここにかかっています(化学で言うところの律速段階)。

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