公務員試験:採用数で見る難易度

 本サイトにたびたび登場する薬剤師の友人が「大学4年生の姪っ子が公務員志望だけど苦戦しているようだ」と言っていました。

 国家公務員なのか、地方公務員なのかわかりませんが、公務員一本で考えていて就職活動はしていないらしいです。公務員浪人もあるかもしれません。

 お堅い仕事である公務員は先が見えないこの時代、人気職だと思います。私の講義を受講する学生にも公務員志望者がいました。

 公務員というと私が大学4年生のとき、防衛大の友人が、どこの大学院に行くか迷っているなら防大の大学院を受けろ、と下宿先まで電話してきたのを思い出します。
 そのまま防大の院を出たら防大出の扱いで自動的に公務員です。
 その時は院試の倍率が高く、どこを受けても合格できるかわからなかったので、防大は盲点かもしれない、と少し心が揺れました。
 ただ、その友人は現役、私は1浪だったので、その友人の配下になる姿が頭に浮かび、思いとどまりました(その友人はそんなことにはならないと主張していましたが)。

 最近の公務員試験の状況について調べてみました。

1.国家公務員総合職

 私が学生の頃は国家Ⅰ種と言っていましたが、いつの間にか呼び方が変わっていました。
 学卒院卒で採用予定数が分かれています(初めて知りました)。
 平成29年度の採用予定数を示します。

情報源:http://www.jinji.go.jp/saiyo/saiyo/sougou/saiyo_sougou02_link/29sougou_yoteisuu_tougouban.pdf
http://www.jinji.go.jp/saiyo/saiyo/sougou/saiyo_sougou02_link/saiyoujoukyou-sougou2904.pdf

<学卒>

  採用予定数
政治・国際 約20名
法律 約180名
経済 約75名
人間科学工学 約10名
工学 約80名
数理科学・物理・地球科学 約10名
化学・生物・薬学 約15名
農業科学・水産 約25名
農業農村工学 約15名
森林・自然環境 約10名

<院卒>

  採用予定数
政治・国際 約20名
法律 約180名
経済 約75名
人間科学工学 約10名
工学 約80名
数理科学・物理・地球科学 約10名
化学・生物・薬学 約15名
農業科学・水産 約25名
農業農村工学 約15名
森林・自然環境 約10名

 私の専攻である“化学”について見ると、“化学・生物・薬学”という括りで学卒、院卒ともに約15名となっています。

 様々な大学の学生が万全の体制で受けに来るわけですから、私だったらこんな狭き門には受かる気がしません。倍率にしたら100倍レベル?

 ちなみに平成29年度採用の試験を区分ごとに見てみます(“化学”(厳密には化学・生物・薬学)について採用があった組織のみ)。

  化学・生物・薬学
警察庁 4
金融庁 1
国税庁 1
文部科学省 2
厚生労働省 8
経済産業省 3
特許庁 5
海上保安庁 1
環境省 1
防衛省 2

 厚生労働省と特許庁の採用が多いですが、それでも採用人数は一桁です。警察庁もありますが、どんな仕事をするのでしょうか?

 次に、国家公務員一般職はどうか?

2.国家公務員一般職

 以前は“Ⅱ種”と呼ばれていた試験です。よく上記総合職よりも試験は易しいと言われていますが、採用数はどうなんでしょうか?平成29年度の採用情報から見てみます。

情報源:http://www.jinji.go.jp/saiyo/saiyo/ippan/saiyo_ippan02_link/saiyoujoukyou-ippandaisotsu-gijyutsu2904.pdf

  化学
警察庁 1
財務省税関 4
文部科学省 1
農林水産省 4
経済産業省 3
中小企業庁 1
国土交通省 3
気象庁 3
行政執行法人 1

 “化学”の採用があった組織について取り上げました。どこも採用数は一桁です。
 上記1の総合職試験とは受験者のレベルが違うのかもしれませんが、数字で見る競争の厳しさは総合職と大して変わらないような気がします。

3.地方公務員試験(東京都)

 都庁だとどうでしょうか?

 試験は24~31歳が対象のA採用試験22~29歳が対象のB採用試験があります。A採用は院卒、B採用は学卒といったイメージでしょうか。

情報源:http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/04/17/05.html

<Ⅰ類(大卒)A採用試験>

  採用予定数 倍率
事務 115 16.6
技術 93 7.9

<Ⅰ類B[一般方式]>

  採用予定数 倍率
行政(一般方式) 340 11.6
技術 147 9.5
その他職種 133 10.6

<Ⅰ類B[新方式]>

  採用予定数 倍率
行政 110 12.9
土木 10 8.1
建築 4 8.8

 倍率は10倍程度、技術系の方がやや倍率は低いでしょうか。技術系のニーズはⅠ類B[新方式]に見られるように“土木”、“建築”が多いのだと予想します。

4.地方公務員試験(東京23区)

 都庁よりもさらに細かい東京23区(特別区)の場合はどうでしょうか。平成29年度Ⅰ類採用試験【一般方式】実施状況で見てみます。

情報源:http://www.tokyo23city.or.jp/saiyo/29nen_ji/1_jisshi.htm

  採用予定数 倍率
事務 980 5.8
土木造園 (土木) 49 2.4
土木造園(造園) 16 4.1
建築 55 1.5
機械 23 2.1
電気 27 1.8
福祉 83 2
心理 36 2.8
衛生監視(衛生) 34 2.7
衛生監視(化学) 5 9.3
保健師 69 2.9

 技術職の倍率がイッキに低くなりました。
 しかし、化学(衛生監視)だけは5名で倍率も高いですね。

 上記1~4から倍率的には

 国家 > 地方(都レベル)> 地方(区レベル)

 といった感じです。

 ただし、職種によっては(例えば化学)どの試験でも厳しい場合もあります。

 こう見ていくと、私の場合、公務員になるための勉強をするぐらいなら、何か資格試験の勉強でもやろうという気になります。

 なお、上記のような難関試験を受けずに国家公務員になる方法として、博士号を取って国の研究機関にパーマネントで採用されることが挙げられます。
 ただ、過去記事でも紹介したように、そう簡単な話ではないですけどね。

関連記事:公務員試験(その2):警察

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