家電量販店で働く友人が危険物取扱者試験(乙4)に向けて勉強しています。
先日、勉強方法として過去問集だけで十分かどうか聞かれました。
その試験を受けたことがない私が適切なアドバイスをできるわけがなく、その時はいい加減に答えましたが、資格のための勉強が過去問メインで十分かどうかというのは非常に悩ましい問題です。
大学の前記、後期試験は多くの場合、過去問を入手できるかどうかに命運がかかっていますよね(?)
資格の場合はどうでしょう。
資格試験は合格することが何よりも優先されるものだと思います。
受からなくても勉強したことは身になるさ、という考え方はもちろんありますが(そんなコメントも以前書きましたが)、正直な話、やっぱり資格は持っててなんぼです。
合格までの最短距離となる手段が過去問であれば、例えその分野のことを全体的に理解していなくても過去問中心でいいのだと思います(ここでは、合格後に専門家として求められる専門性が備わっているか否かは別問題と考えます)。
ここで、今回の悩ましい問題を確率的に考えてみました。
想定するのは5択問題。
過去問または過去問をやっていれば解ける類似問題の出題率、過去問だけでは対応困難な新たな問題の2種類の問題があるとします。
過去問は100%正解し、新たな問題は20%(5分の1)の確率で正解するものとします。
これらをまとめたものが以下の表です。
過去問又は類似問題の出題率 | 新たな問題の出題率 | 全体正答率 |
10% | 90% | 28% |
15% | 85% | 32% |
20% | 80% | 36% |
25% | 75% | 40% |
30% | 70% | 44% |
35% | 65% | 48% |
40% | 60% | 52% |
45% | 55% | 56% |
50% | 50% | 60% |
55% | 45% | 64% |
60% | 40% | 68% |
65% | 35% | 72% |
多くの資格試験の合格ラインである60%を過去問だけで乗り切るには過去問(類似問題含む)の出題率50%以上が必要です(超ラッキーな人は40%ぐらいでも大丈夫??)。
ここで気をつけた方がよさそうなことを整理してみました。
1.出題内容の変化
出題者の交代などで傾向が大きく変わった場合、すなわち過去問出題率が急に下がった場合、過去問中心に勉強をやっていた人は強運を発揮しない限り、合格は難しいのではないでしょうか。
2.相対評価試験の場合
正答率60%が合格ラインのように見えても、実際には受験者の上位何%かを合格させるという相対評価試験の場合です。
受験者はみんな過去問をやっているわけですから、それ以上のことをやらないとダンゴ状態から抜け出すことができません。
3.他人の成功体験
過去問だけやって合格したぜ!という人がいたからと言ってマネするのもリスキーです。
人によってバックグランド、知識、その時の状況が全く違いますから。
例えば、本サイトで何回か取り上げてきた“環境計量士”、同じ学科を卒業した友人で10年分の過去問だけで一発合格したと語ってくるのがいます。それだけ聞いたらひょっとして楽勝試験かと錯覚しそうになります。しかし、その友人の化学の知識、要領の良さと時の運があっての話だと思います。
そうした成功体験者の話を真に受けると痛い目を見るかもしれません。
最年少で受かった、最短時間で受かった、という成功者の体験談は聞こえはいいですが、頭の構造は人ぞれぞれでしょうし、全く参考にならないと感じます。
むしろ10年以上かかってやっと受かったと言う苦労人の話の方が陥りがちな罠や乗り越えるべきポイントがわかって役に立つ気がします。
じゃあ、結局どの資格だったら過去問メインでいいの?ということは自分で考えてみてください。責任が持てませんので。
大学の前期、後期試験の話に戻りますが、過去問を入手できるか否かで成績が決まるというのは学生当時から何かふに落ちない気分でした。
その成績によって就活の成否が左右される場合が多いわけですし。
こんなくだらない悩みから抜け出すのに、誰もを黙らす難関資格を取るという考え方もあるかもしれません(最後は結局何の話?)。
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