複写機メーカーの特許比較

 これまで自動車メーカー、電機・部品メーカー、化学メーカーについて見てきました。

 今回は複写機・プリンタメーカーについてです。

 この業界には弁理士試験の同期合格者が結構います。
 将来が不安だから、という理由で取ったというエンジニアが何人かいました。

 心配性の人が多いのか、それとも本当に先があまり期待できないのか、も含めて見ていきたいと思います。

 複写機・プリンタという製品は販売先で、一般家庭向けのB2Cと企業向けのB2Bの2種類のビジネスに分けられます(B2B、B2Cについては過去記事「B2C、B2Bとは?」参照)。

 家庭用プリンタはモノを売って、後はインクなどの消耗品を別売りするというビジネスです。
 消耗品に関しては海賊版との戦いもあります。

 一方、企業向けはモノをリースし、消耗品の交換、印刷枚数に応じた課金、メンテナンスで収益を得ています。

 堅い商売はどちらでしょうか?

 継続的な収益が見込めるということでは後者でしょう。
 複写機などを設置してもらえれば、あとはチャリンチャリン?(サプライビジネス、なんて呼ばれています)。

 ただ、安定したビジネスではあるのですが、業績では最近イマイチ感があります(実際にこの分野の知人はそんなことよく言っています)。

 市場が停滞していることや比率の大きい海外市場の不振などが挙げられそうです。

 国内で言えば、オフィス、コンビニなどコピー機は行きわたっており、かつ、企業数は減少傾向にありますから、あとは同業者の競争しかないイメージです(従来的なビジネスに甘んじていた場合)。

 また、環境問題から、紙をあまり使わない風潮になってきているというのも少なからず影響があるかもしれません。

 事業者向けの複写機やプリンタビジネスは企業のネットワークに関連するビジネスですので、従来的な複写機ビジネスだけでなく様々なビジネスを展開する余地があるとは思います(過去記事「クラウドとは」でキャノンなどのビジネスモデル特許を紹介しましたが、将来に向けてビジネスを模索しているあらわれだと思います)。

 特許出願数という企業情報を足掛かりに各社を比較してみたいと思います。

 ただし、あくまで参考情報ということでお願いします。
 経営情報に関する数値は刻々変化するものであり、また、本サイトで取り上げる情報が必ずしも正確だとは限りません。
 売上高、従業員数は就職四季報2018年版(東洋経済新報社)を参考にしました(東芝は有価証券報告書より)。

 上記はこの分野の企業を適当に抜き出してきて、売上順に並べたものです。

 また、キャノン、シャープなど複写機以外の製品が多い企業もあり、特許出願数は必ずしも今回対象とする市場のものではありません。

 複写機関連の特許出願や従業員数がわかりませんので売上は当該企業の他分野事業もひっくるめました(なお、キャノンの当該部門売上高は2兆1082億円、シャープは3484億円:2016年)。

 この分野はこれまで紹介してきた分野のメーカーに比べると、従業員数当たりの特許出願数が多いです。

 他業界と比べると訴訟が多い、研究開発に力を入れている(そのような従業員比率が大きい)などが考えられます。

<特許出願数>
 
事業に関わる特許を多く保有しているほど他社の動きを封じることができるので競争優位だと考えることができます。

 (複写機関連がどの程度かはわかりませんが)キャノンセイコーエプソンリコーシャープが積極的に特許出願しています。

<一人当たりの売上高(売上高÷従業員数)>
 上表では参考情報として記載しました。

<一人当たりの特許出願数(特許出願数÷従業員数)>
 どの企業においても開発者1人の特許出願件数に大差がないと仮定すると、この数値が大きいほど開発人員の割合が大きいと考えることができます。

 ブラザー工業京セラドキュメントソリューションズ(旧三田工業)、リコーは(数値上では)相対的に開発が活発だと言えそうです。

<売上高に対する特許出願数(特許出願数÷売上高)>
 この指標が同業他社よりも大きいということは、(同業他社と同程度の売上高であるのなら)売上にとって役に立たない特許が多いと見ることができますし、一方で、明日の売上につながる技術開発を常に行い続けている、と見ることもできます。

 セイコーエプソンは売上高に比べてかなり出願しています。売上に結びつかない特許出願も多いのかもしれませんが、成長志向(将来の新規事業のための開発が活発)のあらわれかもしれません。
 この企業に弁理士同期がいますが、売上の割に出願数が日本一多い企業だと聞いたことがあります。

 この値が小さい企業は売上が特許にあまり依存していないということになります。特許に頼らなくても売上を維持できるということは、ある意味安定した分野なのかもしれません。

 上表では富士通子会社のPFUがこの値が小さいです(特許出願の内容や海外までは見ていませんので原因はよくわかりません)。PFUは業務用スキャナーで世界首位の企業です。

 

 なお、この分野に弁理士の知り合いが多いことは触れましたが、会社を辞めたという噂は今のところ聞こえてきません。

 将来が不安だとか口で言っても、現状に満足している人が多いのだと予想します。

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