残業代の話

 先日、中学の友人2人と私の3人で飲みながら世代ギャップについて話したことを記事にしました(記事「社内のいろんな世代」)。

 今回は3人の話の中で出てきた別の話、残業についてです(その場では残業そのものの話になりましたが、本記事では残業代に焦点を当てます)。

 電通の違法残業問題があってから、残業に対する企業の意識がかなり変わってきたと感じます。

 退社時間はもちろん、企業によっては出社時間も制限し、あまりに早く出社するのをNGにしているところもあります。

 友人2人の会社でも残業に関してはかなりうるさくなったそうです。

 コンプライアンスを重視する企業、例えば金融関係などではかなり厳格になってきた感じがします。

 そうでない企業もあるのでしょうが、企業に勤務する知り合いの多くは定時になるとすぐに会社を追い出されると言っています(残業が平気な人にとっては、あまり好ましくない風潮だと思う人もいるようです)。

 実際、残業なんか全然平気、という人は多いと思います。

 昔は毎月100時間以上やってかなりの残業代を稼いでいる人もいました。
 自宅に帰ってないのか、と思う人を何人も見ています。

 ただ、それは働いた分だけちゃんと残業代がでることを前提とした話だと思います(収入が増えるのならどれだけ働こうがへっちゃら、の論理)。

 ここで職種(仕事の種類)と残業代について簡単に整理します。

1.工場のラインなどの仕事

 この職種は労働時間に応じて報酬が出るのが当然の世界です。
 サービス残業、なんて言ったら暴動ものでしょう。
 労働量に応じて完成品という成果が出来上がる仕事であり、働いた分、きっちり対価が支払われるべきです。

2.開発、企画などの職種

 労働時間に応じた報酬があまりなじまない職種です。
 つまり、こうした職種は働いた分だけ成果がでるわけではありません。むしろ成果に結びつかない場合が多いかもしれません。
 毎月100時間以上残業して開発したから画期的な技術ができるというものではありませんし、数日かけて企画書を作ったとしても一瞬でひらめいた案の方が良いこともあります。

 上記1、2の違いを区別するポイントは労働時間と成果が連動するかどうかです。

 上記2のような労働時間と成果が連動しない職種について、企業は、従業員が何時間働いたものとみなすことを定めることができます。

 例えば、開発業務について8時間働いたものとみなすことを定めた場合、8時間に満たない勤務時間でも8時間働いたものとみなして計算されます。
 ただし、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える場合は残業代が支払われます。

 

 上記とは別に“みなし残業”というものがあります。

 就職活動中の学生が気をつけておきたいのはこちらだと感じます。

 みなし残業とは、固定給の中に残業代があらかじめ含まれているという奇妙な制度です。

 何を言っているのかというと、例えば、見かけの固定給が25万円でも、この中にみなし残業分が5万円含まれているのであれば、5万円に相当する時間を残業しても追加的な賃金が一切出ないことを意味します(あらかじめ残業代は固定給に含めて支払っていますよ、というもの)。

<固定給とみなし残業の例>
 固定給25万円(内、みなし残業が5万円)
 →残業を全くしなくても25万円の給料
 →残業を5万円分(例えば50時間の残業)しても25万円の給料

 残業しなければお得でいいじゃん、と思うかもしれませんが、そううまくいくでしょうか?

 仕事量が多くなるほど、有無を言わさず職場に残って仕事をしなければならなくなります。

 50時間のみなし残業になっている場合、51時間働いてやっと1時間分の追加賃金しか入ってきません。

 (このような設定ができるのかはわかりませんが)低い残業代でみなし残業を100時間設定すれば、あらかじめ固定給に織り込んだ残業代だけで従業員を酷使することができることになります。

 さらに、みなし残業で設定した時間を超えそうな社員がいたら、これ以上は長時間労働になるから残業禁止、などと正論をもって残業代の支払いを阻止することもできそうです。

 そう考えると、みなし残業とは、企業にとって従業員を生かさず殺さずに働かすことができる使い勝手のよい制度になり得るのかもしれません。

 ただ、みなし残業を取り入れているという組織はよく聞きますので、必ずしも待遇面に問題がある企業ばかりだとは限りません。

 とは言え、みなし残業の額(時間)がどれくらいなのか企業を分析する視点の一つにできるかもしれませんね(社労士をやっている後輩がいますが、みなし残業について従業員が労働基準監督署(違法に対して行政指導を行う厚生労働省の出先機関)にチクっても効果がない場合が多いようなことを言っていました。案件によるのかもしれませんが、入社してから気づいては遅いかもしれません)。

 さらに詳しく知りたい人は弁護士か社労士のサイトで確認してください。

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