化学メーカーの特許比較

 前回「電機・部品メーカーの特許比較」、前々回「自動車メーカーの特許比較」の化学メーカー編です。

 化学メーカーについては過去にも「化学メーカーについて」というタイトルで触れたことがあります。

 今回は情報源などが多少違っており、過去記事と数値が食い違う場合がでるかもしれません。

 前回記事でも念押ししましたが、あくまで参考情報ということでお願いします。
 経営情報に関する数値は刻々変化するものであり、また、本サイトで取り上げる情報が必ずしも正確だとは限りません。
 売上高、従業員数は就職四季報2018年版(東洋経済新報社)を参考にしました。

(上表の上3社が統合した三菱ケミカルは2017年4月に発足した企業なのでデータなし)

 まず、化学メーカーと言ったときに何が化学メーカーなのかと思いませんか?

 化学物質そのものを作っている企業もあれば、化学物質から少し発展したもの、例えば、パソコンなどの部品になる樹脂素材を作っている企業もあります。
 石鹸や農薬のような最終製品を作っている企業はどうでしょうか?
 繊維を作っている企業も化学メーカーに入るのでしょうか?
 ガラスを作っている企業は?
 など線引きが難しいです。

 ここでは前回同様、適当に、化学メーカーと言われてそうな企業、ということでチョイスしました。

 上表は電機メーカーや部品メーカーを売上順に並べたものです。

<化学メーカーと特許について>

 これまで紹介してきた自動車メーカーや電機メーカーに比べると、若干特許出願件数が少ない気がしませんか?

 化学メーカーの場合、製造ノウハウとして秘匿する方がいいことも多いです。

 こうしたノウハウについて特許出願するということは、そのノウハウ情報を一般公開することになります(特許出願するとはそういうこと)。

 仮に低コストで化学物質を製造する方法をあみ出したとします。 それを特許出願すると競合他社にその方法が知られてしまい、模倣し放題となります。

 自動車や家電製品の模倣であれば現物を入手すれば、特許権侵害の証拠を押さえることができますが、化学物質の製造方法の立証は容易ではないです。

 つまり、特許を取得しない方が良いという場合もあるのです。

<特許出願数>
 
上枠説明のように化学メーカーの特許出願数は電機メーカーなどに比べて少ないですが、それでも出願件数が他社よりも多い企業は開発にそれなりの人員を使っていると考えることができます(開発職に就きやすい?)。

 また、事業に関わる特許を多く保有しているほど他社の動きを封じることができるので競争優位だと考えることもできます。

 ただ、上表の企業は直接的な競争関係に無い場合が多いです。比較するとしたら、例えば繊維製品を扱っているということでクラレ東洋紡ユニチカについて見る、みたいな感じですかね。

<一人当たりの売上高(売上高÷従業員数)>
 上表では参考情報として記載しました。

<一人当たりの特許出願数(特許出願数÷従業員数)>
 どの企業においても開発者1人の特許出願件数に大差がないと仮定すると、この数値が大きいほど開発人員の割合が大きいと考えることができます。

 住友化学信越化学積水化学東洋紡住友ベークライトユニチカが相対的に数値が大きいです(特に積水化学)。
 数値上、相対的に開発が活発だと言えそうです。

<売上高に対する特許出願数(特許出願数÷売上高)>
 この指標が同業他社よりも大きいということは、(同業他社と同程度の売上高であるのなら)売上にとって役に立たない特許が多いと見ることができますし、一方で、明日の売上につながる技術開発を常に行い続けている、と見ることもできます。

 住友ベークライトは売上を鑑みるとかなり出願数がありますね。売上に結びつかない特許出願も多いのかもしれませんが、成長志向(将来の新規事業のための開発が活発)のあらわれかもしれません。

 この値が小さい企業は売上が特許にあまり依存していないということになります。特許に頼らなくても売上を維持できるということは、ある意味安定した分野なのかもしれません。
 上表では大陽日酸日本ペイントサカタインクスがこの値が小さいです。

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