自動車メーカーの特許比較

 これまで特許情報をもとに出てきた企業を紹介してきましたが、企業の比較まではあまりやってきませんでした。

 就職活動や転職活動において候補先が複数ある場合、どのような情報をどのように見たらいいのか迷うことがあるかもしれません。

 そこで参考までに特許出願情報をもとに企業の比較検討してみたいと思います。
 (ただし、あくまで参考情報ということで。経営情報に関する数値は刻々変化するものであり、また、本サイトで取り上げる情報が必ずしも正確だとは限りませんので)

 手始めに、これまで何回か取り上げたこともある自動車メーカーについて見てみようと思います(売上高、従業員数は就職四季報2018年版東洋経済新報社より)。

  売上高 (億円) 従業員数 (人) 特許出願数(2010年以降) 売上高 ÷ 従業員数 (億円/人) 出願数 ÷ 従業員数 出願数 ÷ 売上高
トヨタ自動車 284,031 72,779 35,427 3.9 0.49 0.12
本田技研工業 146,001 43,750 14,260 3.3 0.33 0.10
日産自動車 121,895 22,471 6,130 5.4 0.27 0.05
マツダ 34,066 21,601 3,642 1.6 0.17 0.11
富士重工業 32,322 14,234 2,728 2.3 0.19 0.08
スズキ 31,806 8,530 4,343 3.7 0.51 0.14
三菱自動車 22,678 6,150 3,553 3.7 0.58 0.16
いすゞ自動車 19,269 7,928 2,725 2.4 0.34 0.14
日野自動車 17,455 4,617 1,167 3.8 0.25 0.07
ダイハツ工業 16,903 6,147 4,209 2.7 0.68 0.25

 上表は自動車メーカーということでパッと思い浮かんだものを売上高順に並べたものです。
 上位3社とそれ以外では売上があまりに違うため区別して考えた方がいいかもしれません(従業員の構成などが違うかもしれませんし)。

 本サイトオリジナルは特許出願情報を絡めたところです。

 特許出願が多いということは、“技術開発に熱心”、“将来、市場を独占する武器になり得る”と見ることもできます。
 特許はビジネス世界の兵器のようなものだと考えると理解しやすいかもしれません(特許をたくさん取得≒軍事強化、というイメージでしょうか)。
  あまりに古い特許出願情報だと最近の開発体制などを反映していない可能性がありますので2010年以降のものにしました。

<特許出願数>
 トヨタがダントツです。
 技術開発に関してはトヨタが最も熱心だと見ることができます。開発人員数も他社より多いと予想できます。
 また、上述したように特許権というのは市場を支配するための武器になり得ます。
 つまり特許権が多い自動車メーカーの車は最新鋭の(特許という)武器を多く搭載しているということになります。
 そうした意味でも常に多くの特許出願を行っているトヨタは競争優位を保とうとしていると考えることができます。
 通常、同じ業界であれば売上高が大きい企業ほど特許出願数も多いです。上位4社は自動車メーカーとしてよく挙げられる名前ですが、売上高に応じた特許出願数になっているのがわかります。
 一方、それ以外の企業を見ると、必ずしも売上高と特許出願数が連動していません。このあたりが想像を膨らませることができて面白い部分です。

<一人当たりの売上高(売上高÷従業員数)>
 上表では参考情報として記載しました。
 この値が大きいほど売上効率が良い、従業員の待遇が良い(かもしれない)、と予測できます。
 ただし、従業員数に依存する数値なので、近年、大規模リストラを行うなど従業員数が少ない企業については注意してみる必要があります。
 5.4億円/人の日産の数値はどう見るべきでしょうかね。
 従業員数がからんでくる指標については過去の変動も見た方がいいでしょう。

<一人当たりの特許出願数(特許出願数÷従業員数)>
 どの企業においても開発者1人の特許出願件数に大差がないと仮定すると、この数値が大きいほど開発人員の割合が大きいと考えることができます。
 上位3社ではトヨタが、その他企業ではダイハツが0.68とかなり高い数値です。
 ダイハツはトヨタと資本関係にあり、OEM供給しています。
 そうしたことから特許重視のトヨタの影響を受けている可能性がありそうです(共同出願もちらほら見られますし)。

<売上高に対する特許出願数(特許出願数÷売上高)>
 この指標が同業他社よりも大きいということは、(同業他社と同程度の売上高であるのなら)売上にとって役に立たない特許が多いと見ることができますし、一方で、明日の売上につながる技術開発を常に行い続けている、と見ることもできます。
 その企業で働く側の立場で考えるとこの数値が大きいほど様々な技術開発に携わることができる可能性があると見ることもできるかもしれません。
 上位3社だとトヨタ、それ以外だとダイハツが大きいですね。

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