本当に売り手市場なのか?

 今、就職は売り手市場だ、と言われています。

 “有効求人倍率”という指標(求人数÷求職者数:この数値が1より大きければ職を探している人よりも人を探している企業の方が多いことになる)でもそれは裏付けられている、と言われています。

 <参考記事>
 有効求人倍率、バブル以来の高水準 3月1.45倍に上昇
 (2017年4月28日 日本経済新聞)

 本当にそうなのか?

 有効求人倍率なんて単なるどんぶり勘定ではないのか?

 と感じる人も割と多いのではないでしょうか。

 一応、大学関係者ですので私も大学の就活システムを使って求人情報を見ることができます。求人内容を見ていると職種であれば「営業」とか「メカ設計」などが多いですね。つまり、企業が採用を想定している学生は文系出身者であったり、理系であれば機械系、電気系の出身者が多そうです。

 私が講義を受け持つ“環境”系学科のストライクゾーンである環境に関わる求人は残念ながら発見できておりません(入念に見たわけではないですけど)。

 また、狭い業界を狙っている学生にとっては決して楽勝ムードではいけないでしょう。

 以前の記事「大企業と中小企業の違いについて」で触れたように、国内の多くは中小企業に分類されるので、大企業だと入りたくても入れない学生の方が多いはずです。

 また、理系学生だと開発職を希望する人が多いと思いますが、新しい商品が出にくい時代ですので、企業の開発人員は徐々に減っているのではないでしょうか。

 以下の情報は国内特許出願件数の推移をあらわしています(特許ステータスレポート2016 図表1)。
 

 2000年代、企業が技術者に出願ノルマを課すなど、やみくもに特許出願していたような時代もありますので、リーマンショック以降(2009年以降)で見てください。

 国内出願件数は増えていません(というか少しずつ減っています)。

 企業が開発要員を増やして技術を進歩させ、常に画期的なものを作っているのであれば出願件数は増えてもいいはずです。

 そうなっていない限り、いくら有効求人倍率が増えたからと言って、開発職に就きやすいとは言えないかもしれません(あくまで出願総数にのみに基づいた判断ですが)。

 ここで、視野を広げると希望が出てくるかもしれません。

 下のグラフは世界の特許登録件数の推移です。地球全体で見たら開発職の求人にたどりつく可能性はアップするでしょう。

 
 (特許ステータスレポート2016 図表10)

 また、最初に示したグラフは全体では縮小傾向ですが、増えている分野(例えばロボットとかITとか医療とか)もあるはずです。

 他分野のことも知ってみたら考えが変わってくるかもしれません。

 成長分野は結構あります(下図は一例)。

 
 (出典:特許行政年次報告書2016年版 1-5-34図)

 “環境”に関わりたいという場合、上図市場にはいくらで関わり方はありそうです(例えば、以前の「水処理系ビジネス」で触れた技術分野など)。

 例えば、各年度の出願件数が伸びている企業であれば開発職ニーズも多いと言う判断ができるかもしれませんね(そうした出願件数は“出願人/権利者”と“出願日”から簡単に調べることができます。調べ方は過去記事「専攻を活かせる(かもしれない)企業の見つけ方」の検索項目について“出願人/権利者”を選び、興味のある企業名を入力し、さらに追加検索項目“出願日”を選び、例えば[20100101:20101231](これは2010年1月1日から2010年12月31日を指定)と入力し、検索ボタンを押せば所定年の出願件数がでてきます)。
 以下は自動車メーカー3社の特許出願公開件数を比較したものです(特許出願は出願した日から1.5年後に一般公開されます)。
 
 (上グラフに特に意味はありません。イメージです。)

 こんな感じで企業を調べてみてはどうでしょうか?

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