労働衛生環境と関連資格

 夏場の室温28℃設定だとか禁煙化するとかは多くの場合、総務部が旗振り役になって推進していくのでしょうが、こうした職場環境に関して法的に定められた範囲があります。

 例えば、節電だと言って室温を30℃にしたり、照明を極端に間引きして暗闇のような状態を作ってその範囲を超えると違反になります。

 オフィス環境に関連する法律には“労働安全衛生法”、“ビル衛生管理法”があります。

 細かい説明はしませんが、例えば以下のような定めがあります。

・一酸化炭素50ppm以下、二酸化炭素5000ppm以下(換気)

・室温17℃~28℃(空調)

・湿度40%~70%(除加湿)

・照度150ルクス以上(照明)

・休憩所の設置

・労働者の健康チェック

などなど

 感覚的にイメージできるでしょうか?

 一酸化炭素・二酸化炭素濃度や照度はピンとこないのではないでしょうか?

 私の感覚ではかなりゆるゆるの設定です。
 オフィスで一酸化炭素50ppmなんて締め切った部屋でタバコを何十本吸ってもそう簡単には達しないでしょうし、照明が150ルクスだと暗くて読み書きに支障がでます(300ルクスでもまだ暗いです)。
 まあここではそんなことはどうでもいいです。

 衛生管理者という資格があります(国家資格)。

 職場の衛生に関わる技術的事項を管理することを目的としています(室温とか照明とか上記事項のようなことについて職場の衛生環境の改善を行うことが目的と言えます。企業の利益には直接関係しない裏方役です)。 

厚生労働省によると衛生管理者は、
(1)労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること 
(2)労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること 
(3)健康診断の実施その他の健康の保持増進のための措置に関すること 
(4)労働災害防止の原因の調査及び再発防止対策に関すること
等のうち衛生に関する技術的事項の管理を行う
とのことです。

 常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者免許を有する者のうちから労働者数に応じ一定数以上の衛生管理者を選任しなければなりません。

 衛生管理者は3種類あります。

1.衛生工学衛生管理者

2.第一種衛生管理者

3.第二種衛生管理者

 業務の広さは1>2>3です。

 上記1の衛生工学衛生管理者は一般の試験がなく、一定の受講資格を持つ者が所定の講習を受けて修了試験に合格することで取得できます。

 段階的に受験する必要はないので、受験資格さえあれば第一種衛生管理者試験を受けることができます。

 試験科目は以下の通りです。

労働衛生 有害業務に係るもの
有害業務に係るもの以外もの
関係法令 有害業務に係るもの
有害業務に係るもの以外もの
労働生理

 ただし、受験資格が必要で、学生のうちは受けることができません(以下リンク先参照)。 最短でも1年の実務経験が必要です。
 <公益財団法人 安全衛生技術試験協会>(2.受験資格) 
  http://www.exam.or.jp/exmn/H_shikaku502.htm

 ただ、国家資格にしては月数回も試験が開催され、しかも合格率は50%以上です。
 また、事業場の規模が大きいほどニーズがあります(下表)。

事業場労働者数 衛生管理者の選任数
50人以上~200人以下 1人以上
200人超~500人以下 2人以上
500人超~1,000人以下 3人以上
1,000人超~2,000人以下 4人以上
2,000人超~3,000人以下 5人以上
3,000人超 6人以上

 このように受験資格の制約がある資格ですが、(大学で専攻する分野によっては)衛生工学衛生管理者が実は一番手っ取り早く取得できるかもしれません。

 衛生工学衛生管理者の受験資格要件の一つに

学校教育法による大学又は高等専門学校において、工学又は理学に関する課程を修めて卒業した者

とあります。

 実務経験が要件になっていません。

 工学系、理学系の学士であればあとは5日間の講習を受ければ良いのです(工学部、理学部というだけでOKなのか、学科が決まっているのか、他の学部はどうなのかは不明です。興味のある人は関連組織に問い合わせてはどうでしょうか)。

 学部在学中には無理ですが、大学院生なら受験可能と考えられます。

 ただし、費用が約12万円かかりますけど(これを高いと考えるか安いと考えるかはあなた次第)。

 (情報:中央労働災害防止協会HP http://www.jisha.or.jp/seminar/kyoiku/y8220_eiko_5d.html

 

 なお、“安全管理者”という混同しそうな資格がありますが、こちらは一定要件を満たす人が研修を受けるだけでOKなゆるい感じの資格なので割愛します(本サイトにたびたび登場する家電量販店勤務の友人も気づいたら安全管理者になっていた、と言っていました)。

関連記事:労働衛生環境と関連資格(その2)

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