再生可能エネルギーと関連ビジネス

 前回触れたのは節電とか省エネ関連でしたので今回は新たなエネルギーについてです。

 2012年7月に固定価格買取制度(FIT制度)という仕組みが始まりました。

 太陽光発電、風力発電、中小水力発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギー発電した電気を電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度です(資源エネルギー庁)。

 その後、遊休地を利用し、あちらこちらにメガソーラーパネルが設置されました。その結果、国内で発電される電力量がどのように変わったのか以下のグラフに示します。

 2010年度と比較して大きな違いは原子力発電です。震災以後の状況は説明しなくてもご存知の通りです。

 一方、再生可能エネルギーはどれだけ増えたかというと、どう見ても国内の発電状況を変えるほどではありません(図の「地熱及び新エネルギー」の部分が該当します。2010年度1.1%から4.7%に増加)。

 またコスト検証委員会の試算によると太陽光発電の電源コストがやたらかかっているのがわかります(下グラフ:資源エネルギー庁より)。

 さらにこの再生可能エネルギー固定価格買取制度にかかった費用というのは、電力会社が一般家庭に請求する電気料金に「再エネ賦課金」として上乗せされます。電気料金が10%ほどアップしています。
 毎月届く電気料金の明細を確認してみてはどうでしょうか?

 こうした問題に関してはこの程度にして再生可能エネルギーにどのような企業が関わっているのか見ていきたいと思います。

 既に停滞気味の太陽光発電では面白くないので風力発電について一般社団法人日本風力発電協会のホームページから情報を拾っていきます。

 太陽光や中小水力発電などでもそうですが、一口に風力発電と言っても企業の関わり方が大きく異なってきます。

 協会のホームページにある会員企業名のところには「風力発電事業者」、「風車メーカー」、「土木・建築」、「電気工事」、「輸送・建設」、「電気設備・電気系機器」、「風車構成品・機械系機器」、「メンテナンス」、「コンサルタント」、「金融・保険」、「その他」とプレーヤー別に企業欄が設けられています。これだけの業種があることを意味します(下リンク参照)。

 

■風力発電事業者

 「発電事業者」とは発電事業に関する書類を国に届けた者のことであり、技術力があるとか、電力会社でなければならないというものではありません。

 太陽光発電だと個人事業主が自らの土地や他人の土地を借り、そこに業者に太陽光パネルを設置させて発電事業者になっているケースもあります。

 ただ、風力発電は巨大事業と言ってもいいので大企業が多いです。例えばリース企業のオリックスの名前がありますが、太陽光発電にもかなり力を入れています。

■風車メーカー

 国内メーカーだと三菱重工日立あたりの風車がよく見られます。海外メーカーもかなり進出しています。

 (会員に見られないものもありますが)ヴェスタスGEエネルコンガメサなどがあります。

 ここで風力発電とはどのような構造物からなるのか図を示します(洋上風力は省略)(出典:NEDO http://www.nedo.go.jp/content/100544818.pdf)。

■土木・建築/電気工事/輸送・建設/電気設備/電気系機器/風車構成品/機械系機器

 風車は高さが100メートルを超えるものが珍しくありません。

 それを建てるだけで一大事業です。

 風況の予測から環境影響まで考慮する必要があり場所があれば簡単に建てられるものではありません。

 風車そのものの構造は複雑ではありませんが、風車のてっぺんにつけられた風向・風速計から電力系統までさまざまな事業者が関連してきます。

■メンテナンス

 風力発電の大きな問題に事故の多さが挙げられます。

 山の上や海の上など他に何もないところで100メートル以上の高さの構造物を建てるわけで落雷事故は相当多いです。

 乱流暴風の影響も無視できません。

 日常的な設備点検(設備の振動から異常を検知するなど)は不可欠です。昔、フランダースの犬というアニメでメンテナンス不足の風車が火事になったという回がありましたが、リアルな世界でもこうした問題は起こり得ます。

■コンサルタント

 風況の予測は発電量(売電金額)に直接関係します。風車が生態系に及ぼす影響の事前確認もしなければなりません。

 地形や風況に合わせた設備設計も必要になるでしょう。

 事故・災害リスクの予測も必須です。

 前記を踏まえて発電量を予測し、事業計画を立てる必要もあります。

 法的な問題もあるかもしれません。

 こうした問題に外部の専門知識を有する組織が関わります。

■金融・保険

 風力発電の事業性を評価し融資の判断をする必要があります。
 また、数十年という長い期間運営し続けるのですから保険は必須です。

 

 風力発電事業者に風車の内部を見せてもらったことがありますが、間近で見ると迫力がありました。
 日本は海に囲まれていますので、洋上風力のポテンシャルは大きいかもしれません。
 ただ、常に風車を動かすだけの風が吹いてくれるかが問題です。
 この風況の予測というのが他の再生可能エネルギーよりも難しいところでしょう。
 あとコストの問題もありますね(NEDOの再生可能エネルギー技術白書第2版によると日本は世界のシステム単価の2倍ほど高いです)。

 

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