室温28℃と関連技術

 かなり暑くなってきて冷房の季節になりました。

 一方でこれまで節電・電力ピークカットなどで推奨されていたエアコンの設定温度28℃に何の科学的根拠もないということで話題になっています。

 新聞記事などを見ると、この28℃設定は2005年頃から始まったらしいですね。
 ただ、私の印象では2011年の震災直後の原発停止からこれが意識された気がします。

 エアコンが家庭やオフィスの電力に占める割合はそれなりに大きいです。

 一人暮らしをしている人は毎月届く電力料金明細書を見るとわかると思いますが、夏と冬の電気代は春と秋に比べて数千円高い場合がないでしょうか?

 それだけ電気代にエアコンが影響しているということです。

 一方、エアコンを28℃設定にすると消費電力を減らすことができるということはどういうことでしょうか?

 エアコンは圧縮機で冷媒を膨張または圧縮させることで、熱が吸収・放出されるという物理化学現象※を利用しています。
 人の心臓がポンプのように血液を循環させるのによく似ています。

※例えば夏、道路に水をまくと(打ち水)、水が気化するときに周りの熱を奪って涼しくなります。エアコンはこの現象を圧縮機で強制的に行う装置だと言えます。関係ない話になりますが、“ジョジョの奇妙な冒険”でDIOという悪役が触れた相手の水分を一瞬で蒸発させその相手を凍りつかせる“気化冷凍法”という必殺技を持っていたのも同じ原理です。

 エアコンの仕組についてはダイキンのHPに説明がありましたので貼り付けておきます(以下)。
 

 このエアコンの心臓部ともいえる圧縮機にパワーが必要(電力が必要)です。

 つまり24℃設定の場合よりも28℃設定の場合の方が室内を冷やすための圧縮機の稼働が少なくて済む、つまり電力が少なくて済むということで、できるだけ高い温度に設定させようと冷房のマックス温度付近である28℃ということになるのでしょう。

 エアコンの性能を上げるとしたら、最適な冷媒を選ぶ、インバーターによる圧縮機の制御(圧縮機が常にフルパワーで動くのではなく室温などを反映して必要な分だけ稼働させる制御)、圧縮機そのものの性能向上、が考えられます。

 ちなみにエアコンの“圧縮機”に関してどの企業が最も多く特許を持っているか調べたら“サンデン”がでてきました(検索条件は割愛)。
 カーエアコンを主力とする世界的なシェアを持つ企業です。

 設定温度の旗振りと管理は一般的に総務の仕事で、多くの他部署から恨まれるのでしょうね。

 ちなみに電気料金について次の仮定でシミュレーションしてみます。
圧縮機の消費電力1kW(キロワット)
圧縮機の稼働時間は1日4時間
電気料金単価20円/kWh(キロワットアワー)
<エアコン圧縮機の1か月の電気料金>
 1kW✖4時間✖20円/kWh✖30日=2,400円

 ※最近はエアコンの冷房効率がかなり上がっていますので(経済産業省資料によると2005年度に比べて2010年度のエアコンのエネルギー効率は平均で16.3%向上)、古いエアコンを使い続けるよりも買い換えた方がお得かもしれません。

 設定温度を高めることでこの金額が1割でも2割でも下がるなら企業にとっては大きいです。
 従って企業にとって節電は経費削減的な意味合いの方が大きいかもしれません。

 ただ、設定温度が1℃上がるごとに(不快度が高まるごとに)作業効率が何%か低下するという研究データを昔、何かで見ました。
 過度な節電は企業にとってマイナスでしょう。

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