気象予報士という資格の有用性は?

環境系学科のホームページに「関連する資格」として“気象予報士”が挙がっていることがあります。

罪なことをするなあ、と思います。気象も地球環境の一つだからという理屈だと思いますが、学生のことを考えると誤認につながる記載はやめておいた方がいいのではと思います。これを見た高校生が、気象予報士⇒テレビ業界、なんて想像を膨らませて勘違い入学するかもしれません(さすがにそこまではないでしょうかね?)。それに環境に関連する業務として示唆するのなら弁護士(例えば環境専門の弁護士とした活躍できる可能性)ぐらい書いとけよ、と思います。

私の場合、“気象予報士”と聞くと、お天気おねえさんとか、ネット局の女子アナがフリー転身してキー局出演を狙うのに取る資格、という野心的なものが真っ先に頭に浮かびます(これもメディアの影響でしょうかね)。

気象予報士とは平成6年度に導入された比較的新しい資格です。気象庁ホームページによると、気象予報士とは「気象庁から提供される数値予報資料等高度な予測データを、適切に利用できる技術者を確保することを目的として、創設されたものです」とあります。

具体的には、

1.確かな気象データを根拠資料として今後の大気の諸現象(天気、気温、降水、降雪等)を科学的に予想し、

2.その結果を第三者に提供すること

を業務的に(反復・継続して)行うことを認められた人だと言えそうです。

つまりテレビの天気予報的には、独自の予想を視聴者に提供できる人、です。気象会社の予報をメッセンジャーとして伝えることはこれに該当しません(従ってテレビ局の女子アナが天気予報を伝えるのに気象予報士の資格は必要ないということになります)。また、予想のための判断材料は気象庁などの適切な予報資料でなくてはならないとされていますので、その場の空模様から予想するのはおそらくNGではないでしょうか。

気象予報士を取ったら何かいいことがあるのか?

これに答えるものとして気象庁から気象予報士現況調査結果があります。

平成26年7月に公表されたものを簡単に紹介します。

<受験者男女比>

男が88%女が12%と実は男の方が圧倒的に多いです。

<受験者年齢層>

多い順に30代30.0%40代25.9%20代23.2%となっています。男女構成比を鑑みると中年男性が多いのかもしれません。

<受験動機>

多い順に「就職、現業に有効と判断」34.9%「仕事に関係ないが資格を取りたかった」34.1%「予報業務許可事業者に所属し「現象の予想」に従事するため」14.4%です。平成16年当時は趣味的な動機が39.3%で最も多かったのに対し、最近は仕事に役立てたいという動機にシフトしつつあるようです。

<受験者の所属業種>

多い順に「無職」14.8%「製造関係」9.4%「地方自治体」7.7%となっています。

<気象予報士登録前後の職種>

登録前N=3037、登録後N=2913(登録前または現在における学生、無職除く)

上グラフがあらわすように気象予報士を取れば誰しもがジョブチェンジできるというわけではないようです。ちなみにキャスターは3.0%(前)→4.6%(後)と気象予報士取得後に1.6%増えています。全体を3000人とすると3000人×1.6%=48人となります。キャスターという業種の実態がわかりませんが(インターネットでの予報なども含むのか?とか)、これを多いと見るのか少ないと見るか、それはその人次第ですね。

気象予報士の合格率は5%前後ですので、気象予報士を取得してお天気キャスターになれる確率は、計算上5%×1.6%=0.08%です(ただ、趣味的にこの資格を取ろうとする人も多く、実際は見かけの合格率ほど難しい試験ではないと言われていますので確率はもっと大きいでしょう)。

キャスターのことばかり書きましたが、気象庁の気象予報士現況調査結果を見ていると起業・独立できたという人が少なからずいますし、企業のリスクマネジメント業務に関わることもできます(参考:下記リンク)。本記事を書きながら思い出してきましたが、前職場で気象予報会社とコンサルティングメニューづくりを検討していた人がいました(気象は自然災害に直結する場合が多いので、災害未然防止のために気象情報を効果的に提供することはメニューになり得るはずです)。そうした業務に気象予報士としての知識も役立つのかもしれません。

<気象庁:気象予報士現況調査結果(平成26年7月)>

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