就職希望先がここ最近不祥事を起こした企業の人には要チェックな言葉ですね。20年前はほとんどの人知らないけれど、今は多くの人が一度は聞いたことがあるという言葉の一つでしょう。
英語だと「compliance」、法的な意味としては順守、すなわち法律に従うという意味です。社内では、コンプラ、と略して言われることが多いです。
この言葉が出てきたのは最近(2000年代に入って)です。私が最初にこの言葉を聞いたときはガンプラが頭に浮かびました。
英語系の言葉は当然ながらアメリカからやってくることが多いです。
この言葉もやはりそのようで、粉飾決算(赤字なのに利益がでているように見せかけるなどの虚偽の決算報告)やインサイダー取引(製品開発情報など部外者が知り得ない情報を利用して株の売買などを行い一般投資家に損害を与える行為)などの企業不祥事が背景になっています。
コンプライアンスの契機になった事件としてよく言われているのがエンロン社(エネルギー関連)とワールドコム社(電気通信)の粉飾決算です(どちらも2000年初期の事件でいずれも当時のアメリカ史上最大の企業破綻となりました)。
日本国内でも食品偽装とか製品欠陥隠しとか談合とか環境汚染とか不正会計とか書ききれないぐらいいろんな事件が起きています。
私が訪れたことがあるメーカー(下図A社)で環境汚染が問題になったことがあります。
A社の下流企業に別のメーカー(B社)があり、B社は河川の汚染に気づき事業を中断しました。
B社はA社が犯人ではないかと事業を中断したことで生じた損失利益を請求してきたとのことです。
しかし、実際にはさらにもっと上流のメーカーが汚染原因者だったらしいです。このように一つの企業のコンプラ違反が様々なところに影響を及ぼします。
普段の業務では例えば、
・下請けとの取引において書類を取り交したか
・約束の期間内に支払いを行ったか
・社員の残業時間が規定をオーバーしていないか
といったチェックとともに「コンプラ」という言葉が使われることが多かったです。
あっという間に情報が拡散する昨今、こうしたコンプラ問題が明るみに出ると企業の評判がいっきに低下してしまいます。そうなったらまずい、と思う企業のリスク管理的な意味合いをコンプライアンスという言葉の中に感じました。
コンプライアンスにまじめな企業では面倒なくらい様々なチェックを行います。例えば
・取引相手が反社会的勢力でないかどうか
といったことから
・取引先のパソコン画面にはロックがかかるようになっているか
といった細かいことまでチェックします。
社内にこうしたルールがある以上、コンプラ違反が発生して大きな問題に発展した場合は担当者だけでなく、その管理者も責任を問われることになります。
だから管理者にとっては「コンプラは重要」だという意識になり、末端の社員にまで浸透してきたのかもしれません。
中小企業の立場から見ると、大企業との取引で支払いが遅れているときなどは「これはコンプラ違反じゃないですか」と言うと案外効き目があるかもしれませんね?
<参考:最近の企業不祥事>
・てるみくらぶ ニュース記事(朝日新聞)
・東芝 ニュース記事(ZUU online)
・電通 ニュース記事(ロイター)
・三菱自動車 ニュース記事(日経BP)
細かい事件も書いていくときりがないのでこの辺で。