炭素繊維の特許が多い企業

前回の記事「鉄(Fe)に関わるビジネス」にて自動車などの材料である鉄鋼炭素繊維と競合することに触れました。この炭素繊維という技術にどのような企業が関わっているのか、例によって特許出願状況から調べてみました。

特許出願は特許庁への出願日から1年半後に漏れなく一般公開されます。従って公開情報からどのような企業が炭素繊維をビジネスに結び付けようと研究開発してきたかがわかります(企業秘密として特許出願することなく研究開発している場合はそうした企業の情報を得ることはできません)。

ただし、あくまで特許という視点の情報です。検索条件もざっくりしたものなのでノイズ情報も含まれています。従ってここで紹介する情報を鵜吞みにせずに他からも情報収集してください(本サイトは世の中にどのような企業があるのかを知るきっかけにしてもらうために紹介しているに過ぎませんので)。

炭素繊維に係る特許の出願が多い企業は以下の通りです(検索条件によって出てくる企業が異なってきますので以下の企業以外にも炭素繊維の開発に力を入れている企業はまだあるでしょう)。東レを筆頭に繊維系、化学系企業が多く挙がっています。

東レは炭素繊維世界トップです。ポリアクリロニトリルPAN)という化学物質を高温で蒸し焼きにする方法で作っています(下の東レHP先参照)。

http://www.torayca.com/aboutus/abo_001.html(東レ)

これに次ぐのが三菱レイヨンですが、2017年4月に三菱レイヨン、三菱化学、三尾樹脂が統合して三菱ケミカルになりました。単純に三菱レイヨンと三菱化学の特許数を併せると東レを上回ることになります(あくまで本検索条件での話)。

上記検索結果は炭素繊維そのもの、あるいは炭素繊維の製法に関する特許が出やすい検索条件としました。

一方、炭素繊維は様々な製品に応用されます。軽量化強度アップのため炭素繊維を応用した製品特許も数多くあります。上記と同じく特許情報からどのような製品への応用があるのか整理してみました(先に挙げた繊維系、化学系企業も応用製品に関する特許を持っていますが、ここでは外しました)。

多かったのが自動車への応用です。自動車ボディにうまく展開できたら、従来の鉄鋼材よりも軽量化できます。燃費にかなり寄与することが予想されます。ただ、炭素繊維はリサイクル性に難があると言われています。この点では繰り返し再生できる鉄鋼材の方が優位と言えるでしょう。

電池(燃料電池など)への応用を試みる企業も多いです。電極基材に炭素繊維を使うことで導電性、強度、耐食性などを高めるのが目的です。燃料電池の研究に就いていた友人がいます。10年以上前の話になりますが、少し実験をやっただけで電極基材がボロボロになると嘆いていたのを思い出します。電極基材については下の東レリンク先参照。

http://www.torayca.com/lineup/composites/com_009.html(東レ)

その他にも航空機医療機器電子機器建築物・・・と用途はいくらでもあります。応用品の中には掃除機もあります。一体どの部分に使おうとしているのかと思ったら、ヘッドのブラシに応用されていました。

上記自動車のように従来品と炭素繊維を比較するにあたってはトップの比較表にある通り“重さ”や“強さ”や“コスト”を考えなければなりません。環境を専攻している人であればこれに加えて“環境”という視点は不可欠ですね(今や環境専攻に限ったことではないですかね)。

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