金(Au)に関わるビジネス

 元素記号でAuの金。宝飾需要だけでなく工業需要もあります(実は工業需要の方が大きい)。資産運用にも用いられることも多いのはご存知でしょう。

 これまで人類が採掘した金の量はオリンピックプール3.5杯分(約17万トン)、今後、採掘できるのは1.5杯分程度だと言われています。

 このように限りのある資源であり、かつ需要が尽きないため、長期的に見て金の価値は非常に安定していると言われています。見方を変えると、このニーズがなくならない金を対象としたビジネスはトレンドに左右されず永続できるかもしれません(?)。

 例えば、鉱山から採掘される金の量が減ってくるに伴い、都市鉱山(家電製品などの廃棄物中の金属資源を鉱山に見立てたもの)の重要性が高まってくるでしょう(レアメタルなどについても言えることですね)。こうした都市鉱山から金を取り出す技術(ノウハウや特許)は鉱山から金が取れなくなるほど重要になってきます。こうした技術でリードする企業は今後注目です(いかに販路を構築するかも重要な要素でしょうが、ここでは割愛します)。

 貴金属回収、リサイクルに係る特許出願が多い企業を以下に挙げます。発明の名称に関して「貴金属 Au 純金」のいずれかの単語を含み、かつ「回収 リサイクル 抽出 分離 溶出」のいずれかの単語を含むという条件で検索し、出願が多かった企業を取り出したものです。下表の企業は必ずしも市場全体を正確にあらわしているものではありません。検索条件を変えることで下表にない企業がまだまだ出てくるでしょう。具体的な調べ方は過去記事(専攻を活かせる(かもしれない)企業の見つけ方)を参照してください。

 上流産業の住友金属鉱山、中流産業の新日本製鐵(現在の新日鐵住金)、三菱マテリアル、住友ベークライト、東ソーが、静脈産業とも言われる下流産業のアサヒプリテック、田中貴金属工業、大口電子といった感じに整理することもできます。(※上流、中流、下流とは相対的なイメージで表現しただけです)

 以下憶測ですが、住友金属鉱山のような上流産業は金属資源の採掘量が事業に直結します。少なくとも技術面では将来を見越した事業のあり方を模索しているのかもしれません。下記大口電子は住友金属鉱山が全額出資した企業です。

 新日鐵住金三菱マテリアル住友ベークライト東ソーのような中流に位置する産業では既存事業、保有技術(製鉄とか触媒など)を活かして金属の回収、再生といった市場開拓を模索しているのかもしれません。

 アサヒプリテック田中貴金属工業、大口電子のような下流の産業はまさに金属を回収し、再生、販売というリサイクルビジネスが本業に位置づけられます。こうした企業は本業そのものが“環境ビジネス”だと言えます。ホームページを見ても環境意識の高さがうかがえます。例えば(単なる名前の問題かもしれませんが)アサヒプリテックは事業の一つに“環境保全事業”をすえています。

 田中貴金属工業は金地金やコインの取引というイメージがありますが、該社ホームページの一番下に小さく貼られたリンク先(工業製品・技術情報)を見ると技術の企業だとわかります。特許出願もトータルで1700件を超えています(この企業の規模感でこの出願件数は完全にメーカーなみだと言ってもいいでしょう)。

 こうした限りある資源だから成立するビジネスというのが今後どんどん増えていくのでしょうね(地球上のあらゆる物質が有限なので)。最近は“水ビジネス”なんて言葉も出てきました。希少な資源が何なのかという観点で近い将来出てきそうなビジネスを見極めることができるかもしれません。

 “錬金術”という言葉を聞いたことがありますよね?漫画のタイトルでもたまに見かける言葉ですから。錬金は金より原子番号が小さいものを核融合するか、大きいものを核分裂するかで(理論上は)作ることができます。まだ現実的には難しいですが、ここまで科学が発達したのは錬金術を信じていた時代の試行錯誤があったからかもしれませんね。

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