土壌汚染と関連ビジネス

築地市場移転問題が相変わらず騒がれていますが、こうした土壌汚染(広くは環境汚染)にどのようなビジネスが関連するのか独自目線で整理してみました。

まず、土壌が汚染することでどのようなことが問題になるのか、ぱっと思いついたものを箇条書きします。

<健康>

・汚染した土や砂を口に入れる(幼児など)

・汚染した地下水を飲んでしまう(地域住民)

・汚染した土で作られた農作物を摂取してしまう

・汚染地下水が使われた食品を摂取してしまう

・揮発した汚染物質を浴びてしまう

<生態系>

・生息する生き物の食物連鎖を通じて汚染物質が生物濃縮

・生物死滅などで生態系のバランスが崩れる

<経済>

・汚染というイメージで土地の価値が下がる

・イメージ悪化で土地が売れない/土地の購入を断念

・法的な要件を満たさず事業が頓挫する

ざっくりと土壌汚染によってどのような影響があり得るか挙げてみました。

土壌汚染が話題になるとすぐにその汚染濃度が基準値の何万倍だとか、その土地を利用する人の健康がすぐに害されるかのような報道がされますが、私は土壌汚染で一番懸念すべきことはその土地が汚染されていると知らずに利用することだと思います。その土壌が汚染物質を含んでいるとわかっていればリスクを小さくする土地利用と対策をすればいいのです(農作物を作らない、地下水を飲まない、砂遊びをしない)。むしろへたに汚染した土壌を別の場所に持ち出すなどして、汚染した土の履歴がわからなくなることの方がはるかにリスクが大きいと思います。ただ、汚染したという心理的嫌悪感(スティグマと呼ばれている)で土地の価格が下落する、買い手がつかなくなる、といった経済的な影響は大きいです(そこにビジネス機会があると言えます)。

以下、土壌汚染について発生から対策、その後の土地利用までの流れ(下図)とともに説明します。

土壌汚染は通常地下の土壌や地下水にとどまり(拡散速度は通常ものすごく遅い)汚染を認識することはありません。こうした問題が意識されるのは事業所の移転や土地の売買に関する時が多いです。築地市場移転の問題もそうですよね。

マンションの敷地内で土壌汚染が見つかったとなったら、例え健康影響がないものでも大騒ぎになって訴訟に発展したり、買い手がなくなったりするかもしれません。不動産ディベロッパー(ウィキペディア:ディベロッパーマンション管理業(ウィキペディア:マンション管理会社にとっては賠償責任問題にも発展しかねないため大きな関心事だと言えます。

また、こうした土壌汚染の原因は、企業が環境に無頓着だった時代、洗浄などに有機溶剤を使用した後、その使用済み溶剤を敷地内に垂れ流したり、地下貯蔵タンクが老朽化して漏れ出したりと様々です。時代が移り変わり、こうした事業者が移転するときに負の遺産に頭を悩ますことになります。こうした汚染の対応は当該企業の環境部門が担う場合が多いでしょう。

以下、汚染対応のイメージです。

まずはこうした土地の地歴調査から始まります。工場でどのような化学物質が使用されてきたかとか、さらにその工場が建つ以前にどのような施設があったかといったことを調べます。こうした地歴調査はコンサル会社や以下の環境分析会社、ゼネコンが請け負っています。

汚染の疑いがあればボーリングして採取したサンプルを分析します。これらは主に環境分析会社の業務です。土地の大きさにもよるでしょうが、仕事の規模は数百万円から数千万円でしょうか。

汚染があるとわかった場合は封じ込めをしたり、浄化したりと措置をとります。仕事の規模は億円レベルになることが珍しくありません。ゼネコン(ウィキペディア:ゼネコンから浄化剤のメーカーまで多くの企業が関わります。

封じ込めるなり浄化するなりして対策が終わるとマンション建設などの土地開発が行われます。

このように土壌汚染は様々な企業の関心事であることがわかったと思います。

 

以下に土壌汚染に関する技術の特許出願件数が多かった企業を挙げます(ただし、単純に「土壌」と「汚染」をAND検索しただけなので実態を正確に反映しているとは言えません。キーワードを変えることでもっといろいろな企業が出てくるはずです:このような企業の見つけ方は過去記事「専攻を活かせる(かもしれない)企業の見つけ方」参照)。

ゼネコンがかなり多く(実際に掘削したり建築したりするのはゼネコンの専門と言えるためこの分野では強いのでしょう。土壌汚染対策もひっくるめて包括的に対応しているイメージ)、土壌汚染が大きな関心事であることがうかがえます。化学系、環境系の人材ニーズもあるかもしれませんね。

その他、一般社団法人土壌環境センターのホームページに会員企業の一覧が載っています。どのような企業がどのような土壌汚染関連業務を行っているのかわかります(おそらく土壌汚染対策関係の企業に関しては最も詳しい?)。

<一般社団法人 土壌環境センター 会員企業>http://www.gepc.or.jp/kaiindata/1kaiin.html

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