ITビジネスについて

以前、環境ビジネスについて全体像を探りましたが(記事「環境ビジネスについて」)、このITビジネスというのも業界構造がわかりにくい面があります。

ただ、“環境ビジネス”と違う点としてⅠTという産業が確立していることが挙げられます。転職などにおいても他の業界に比べると年齢を問わず流動性が高いという印象があります。

私の友人で工学部電気科を出た後に国内メーカーに就職し、その後、外資系メーカーに移り、現在ベンチャー企業で組込みソフトウェア業務(装置が目的に応じた動きをするようにプログラミングする業務)をやっているのがいます。手に職を持っているせいか、その友人からは先行きに関する不安はまったく感じられません。これもこの産業の中で人材の流通が確立しているからでしょう。

ただ、ITビジネスとはどんなものか?に答えるのはなかなか難しそうです。上述した友人の仕事も製造業の一業務と片づけることもできるかもしれません。また、ITを活用することで省力化するビジネスは省エネや省資源、廃棄物削減に寄与するものでもあり、ある意味、環境ビジネスでもあります。

 

総務省が日本標準産業分類というものを公表しています(トップの表)。AからTまで20分類されており、GがITビジネスと深く関わる“情報通信業”になっています。

さらにG情報通信業には5つの中分類があります(下図)。

経済産業省の公開資料で“IT関連産業” を「情報サービス業」及び「インターネット付随サービス業」に絞っているものがありました。ITビジネスを表すのにこの括りがわかりやすいので本記事でもこれに倣います(上図赤枠部分)。上記友人の話の“組込みソフトウェア業”がソフトウェア業に分類されています。また、その他にはゲームソフトウェア業などがあるのがわかります。ただし、上図赤枠部分だけではまだITビジネス全体をあらわしているとは言えません

<経産省資料>http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/27FY/ITjinzai_report_2.pdf

上記経産省資料には広義の「IT関連産業」イメージが載っています(経産省資料の図2-5)。これをITビジネス全体像を理解するのに使いたいと思います(下図:経産省資料を加工)。

上図は①ITベンダー(赤枠部分)②WEB関連企業(青枠部分)③IT部門、その他IT人材(緑枠部分)に分けて考えることができます。

①のベンダー(vender)というのは売り手を意味する言葉で製造業者を指す場合が多いです。ちなみに先に示した「G 情報通信業」の「ソフトウェア業」、「情報処理、サービス業」はこれに含まれます。

②のWEB関連産業とは何なのか資料中に説明が見当たりませんでしたが、例えばWEB製作やデザイン製作、SEO対策業務(検索エンジンを最適化し、ネット上で上位表示されるようにする業務)などをイメージできそうです。

③のIT部門やその他IT人材は各企業に所属する人たちを指します。

これらをITを提供する側なのか(上図左側)、利用する側なのか(上図右側)の2つの立場で見ていきます。

以下はIT人材白書2016年版をもとにしたものです。

1.ITを提供する側

「受託開発ソフトウェア業」など7つの業種(業界)があります。どのような業種にどれだけの企業数があり、どれだけの従業員がいるのかわかります(下表:詳細説明は割愛、以下同様)。

また、こうした業種の中にはコンサルタントなどの職種(仕事の種類)があることが下表からわかります。アプリ系技術者が36%と最も割合が大きいのがわかります。

2.ITを利用する側

特に「製造業」「卸売業・小売業」「医療・福祉」が大きな業界として挙げられます(下表)。例えば医療・福祉では電子カルテの導入、運用など様々な医療業務においてIT人材は必須だと言えます。

また、こうした業種の中にはIT戦略策定・IT企画(ストラテジスト)などの職種があることがわかります(下表)。

以上、ITビジネスの業界と仕事の構造をかなりざっくりと解説しました。

 

IT提供側、IT利用側というのが上記説明だけでは伝わりにくいかもしれませんので企業のIT化に伴うビジネスの流れ例示します。

<金融機関のIT化の例>

例えば、金融機関がスマートフォンによるカード決済を新たなビジネスとして始めたい場合、当該金融機関はITを利用する側の企業です。こうしたITを利用した企画は上表職種のIT企画担当者(ストラテジスト)の役目でしょう。そして企画したものを実行するためにITを提供する企業にシステム発注します。発注を受けた(受注した)大手企業(例えば富士通、NEC、日立、NTTデータなど)はスマートフォンによるカード決済を実現するために、ソフト開発やハード製造企業などの下請けベンダーを使い仕事を完成させていきます(下イメージ図)。こうした大手企業はシステムイテグレーターSIer)と呼ばれています。

 

ちなみに私の従弟がこの業界で働いています。下請け、孫請けという構造があり、元受け(上記で言うと金融機関から受注した企業)から見て、海外企業に発注するよりも九州の企業に発注した方が安い場合も多いと聞きました。下請け企業、孫請け企業はかなり大変だろうと想像できます。

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