環境系の資格

以前、環境ビジネスについて触れましたので(記事「環境ビジネスについて」)、環境系の資格についても紹介します。

ここでいう“環境”とは大気環境や水質環境などの環境とします。環境は幅が広いですから、ここでは主に環境汚染の分析や評価、汚染防止に関わるビジネスの関連資格を想定してください。また、こうした資格は汎用性はないのでその分野から外れた場合は資格の意味がほぼ無に帰すことが留意点です。

 

■技術士(環境部門)

科学技術分野の最高位に位置づけられる国家資格です。技術職が最後に行きつく先がこの資格ではないでしょうか。ただし何かの特定業務を独占的にやることができるという資格ではありません。あるのは信用と名誉です。博士号を持っているような感じでしょうね(将来的に大学教員になりたい人は博士号、コンサルタントになりたい人は技術士という感じ)。

環境分析系企業で働く知人で環境部門の技術士が何人かいます。環境分析系企業の人は勤勉な人が多く有資格者が非常に多いという印象があります。信用のある肩書きがあった方が業務上有利だから取ったという人もいました(その人は市場開拓を目的とした技術営業的な業務に従事)。

技術士になるためには以下の手順を踏む必要がありますので、学生のうちに登録することは不可能です。ただ、将来的に技術士を取得したいという人はその専門性に合致した事業を行う企業を選択すべきでしょう。また、下記に示すように4年間の業務経験を積む必要がありますので、そうした業務に就けるか確認しておいた方がいいですね。

第一次試験合格 → 実務経験(通常4年) → 第二次試験合格・登録

https://www.engineer.or.jp/c_topics/000/attached/attach_83_1.pdf

(公益社団法人 日本技術士会HPより、以下同様)

ただし、文部科学大臣が指定した大学の科目修了者は第一次試験が免除されます。

https://www.engineer.or.jp/c_topics/000/attached/attach_356_3.pdf

合格率は二桁%なのでまじめにやっていればいつかは取得できるでしょう。

https://www.engineer.or.jp/c_topics/001/001013.html

 

■環境計量士(濃度関係/騒音・振動関係)

環境汚染物質を計量する事業を行う場合には濃度関係の計量士が、騒音・振動を計量する事業を行う場合には騒音・濃度関係の計量士が必要になります(国家資格)。

例えば工場から排出される有害物質の計量を1検体〇〇円で受けて、測定結果の証明書を出すという環境計量サービスを行う場合、そのサービスを行う事業所に濃度関係の計量士が必要になります。計量士の合格率は10数%と見かけ上は厳しそうですが、実態は少し違うと感じています(マーク形式なのでマグレ合格を狙った受験者が多いのでは?)。

http://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/shikenkubungoto.pdf(経済産業省HPより)

私の知人に限って言えばこの分野に進んだ人の過半数がこの資格を持っています(上述したようにこの分野は勤勉者が多いのです)。業界の中には有資格者がゴロゴロいるため希少価値はないと言えます(1万人近く登録者がいるようです)。そうした有資格者の話を聞く限り就職や転職で優位になるのか疑問に感じました。ただ、学生で合格したというケースは少ないので少しはPRになるのかもしれません。また、この分野の人にとっては第一関門的な資格になっているようです。2~3か月の勉強で受かった人もいれば1~2年を要した人もいて勉強時間はなんとも言えないですね(化学が得意な人は短時間、それ以外の人はそれなりの時間がかかるイメージ)。当該資格は企業として必要性がない限りその後の人生に全く役に立ちません。現状、有資格者が多くこの資格が生きる場面はあまり多くはないと感じます。それにも関わらず環境系の学科でこの資格取得を学生に推奨するケースがあるのは解せません。将来、自分で事業を始める気があるというのならわかりますが、そうでないのであれば、進路が確定していない段階で取得に注力するのは時間の使い方がおかしい気がします(あくまで個人的な考えです)。

こぼれ話になりますが、学生時代、同じ研究室の友人が在学中にこの資格を取りました(その時初めてこの資格を知りました)。その友人は分析系の企業に入ったのですが、その後、その企業が四国で計量事業を始めることになり、現地に計量士が必要だということで泣く泣く四国に行くことになりました(その時代、計量士は今ほどいないかったようです)。

なお、似たような資格に公害防止管理者というのがあります(国家資格)。これも環境計量士と同じように、事業に伴い(特定の工場で)資格者を設置しなければならないと義務付けられています。学生にとっての意義は計量士とほぼ同じではないでしょうか。

関連記事:環境計量士(その2)

■その他

環境汚染を評価する資格としては環境サイトアセッサー環境アセスメント士が、環境マネジメントを審査する資格としてISO14001審査員があります。ただし、こうした資格は実務経験が求められたり、取得費用が高額だったりするので入社後に会社判断で取得する資格だと言えます。また、これらは国家資格ではありません。

国家資格としては先に挙げたもの以外では臭気判定士などが浮かびますが、あまりにもマニアックな分野なので学生が手を出す資格ではないでしょう。その他、検定試験は論外です。

つづき:環境系の資格(その2):結局何がおすすめ?

その他、環境系に近いかもしれない(?)資格については下の記事参照
資格:放射線取扱主任者
労働衛生環境と関連資格
エネルギー分野の資格
危険物取扱者という資格

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