製造業と非製造業の違いについて

記事「中小企業と大企業の違いについて」で述べましたが、全体としては企業規模が大きくなるほど待遇(給与)が良くなります。しかし、単純に待遇だけを求めるなら、中小企業か大企業かということよりも業種の違いに着目した方がいいかもしれません。

業種別の平均給与(国税庁のデータ)について見てください(記事トップのグラフ)。

最高が「電気・ガス・熱供給・水道業」で715万円、最低が「宿泊業,飲食サービス業」で236万円です。その差は479万円もあります(全体的に額が低いと感じる人もいるかもしれませんが、平均しているためでしょう)。

もう少し細かく見ていきましょう。

1.製造業について

下のグラフは製造業における労働生産性をあらわしています(2016年版の中小企業白書のデータから作成)。

労働生産性」なる指標がでてきました。

前回記事「中小企業と大企業の違いについて」にて、大企業と中小企業の比較、中小企業同士を比較するのに各企業の「売上高÷従業員数」で見ると便利だと紹介しました。似たようなものだと思ってください。

厳密に言うと

労働生産性=(営業利益+人件費+租税公課+動産・不動産賃借料)/総従業員数

です(上式の分子部分は「付加価値」と呼ばれています)。

租税公課、動産・不動産賃借料という小難しいものを無視すると、労働生産性とは従業員一人当たりの利益&給与と置き換えることができそうです(営業利益って何?と思った人もいるかもしれませんが、ここでは単純に本業から生み出した利益だと思ってください)。

先の記事で述べた「売上高÷従業員数」だと設備費や原材料費などが大きい業種と小さい業種で売上高がかなり変わってくるでしょう。同業種や近い業種の企業比較には使えても事業構造が異なる企業を比較するのは難しいと言えます。労働生産性は「利益」と「人件費」といった個別の要素に焦点を絞っており、設備費や原材料費などのノイズが除かれていると考えることができます。

以上を踏まえると労働生産性が高いということは次のいずれかだと予測ができるかもしれません(あくまで予測)。

本業が利益を上げている、かつ、従業員待遇が良い

(本業の利益はそうでもないが)従業員待遇がかなり良い

(従業員待遇はそうでもないが)本業利益がかなり良い

通常、この指標はその企業がいかに効率的に価値を創出しているかを見るのに用いられます(例えばこの値が低いと、多くの人手を要して少ない利益しか生み出していない効率の低い仕事をしている、機械化が進んでいない、なんて分析されます)。生み出した価値がどれだけ給与に振り分けられるかまではこの指標ではわかりませんが、待遇面を推し測る指標にはなり得るでしょう。

このグラフを見ると「石油製品・石炭製品製造業」が最も高く、「食料品製造業」が最も低いことがわかります。石油製品・石炭製品製造業の中小企業(1,111万円/人)の方が食料品製造業の大企業(763万円/人)よりも労働生産性が高いのがわかりますね。少し乱暴な予測をすると、食料品製造業の大企業を狙うよりも石油製品・石炭製品製造業の中小企業を狙った方が好待遇を受けられる確率が高いかもしれません(?)。

 

2.非製造業について

次に下のグラフは非製造業の労働生産性です(よく見ると、建設業がこの中に含まれており、製造業ではないのか?などと思うかもしれませんが、中小企業白書ではそうなっているのであしからず)。

非製造業は「金融・保険業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「不動産業、物品賃貸業」などが高い水準です。

こうして見ると製造業と比べて非製造業は差は大きいものの羽振りが良さそうな業種も多いと感じませんか?

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