資格:中小企業診断士

(原則、資格が就職の役に立つものではないというのは「資格について」で述べた通りです。以後、資格に関してはそのことを踏まえて読んでもらえればと思います)

この資格は社会人に大人気、学生で取れればたいしたものです。就職、転職でそれなりに評価を受けることも多いはずです。

企業内では、例えば経営企画部などで勤務していた人で定年後の第二の人生に経営コンサルタントをやろうと夢見ている人、転職のためのPRに使おうとしている人が多いと感じます。

士業にも人気です。私の同業(弁理士)でも中小企業診断士とのダブルライセンスの人がかなりいます。弁護士&中小企業診断士税理士&中小企業診断士なども聞いたことがあります(それだけ多くの人が肩書を認めている資格と言えるでしょう)。

中小企業診断士は経営コンサルタントを認定する唯一の国家資格です(参考:診断士協会HP)。

合格するためにはマーケティング、財務、IT、法律など幅広い知識が求められます(1次試験は7科目)。それゆえ転職においてもかなり評価は高いと考えられます。

また、弁護士、弁理士、会計士、税理士のような専門的深さは試験において求められないので、大学生にも十分に手が届く資格ではないかと思います(甘くはないですけど)。それでいて弁理士などが名刺に“中小企業診断士”と明記するぐらいですから対外的に堂々とアピールできます。

ただし、この資格を持っていれば簡単に経営コンサルティングができるかと言えばNOです(この点だけが要注意)。もしうまく資格を取れたとしても偉そうに経営を語るのだけは絶対にやめておきましょう。あくまで机上で得た経営知識に過ぎませんので(本当にこの資格を使いたければ経験を重ね、専門の領域を築いていくしかないでしょう)。

ではなぜこの資格がそれほど人気なのかという疑問がわいてきます。上述のように「経営コンサルタントを認定する唯一の国家資格」という位置付けが効いているのだと思います。

また、残念ながらこの資格は何か専権業務(法令で定められた、その資格を持つ者だけに許された業務:例えば弁護士の法律事務など)があるわけではありません。ただ、逆にそれが就職や転職にとっては良いのかもしれません。業種や職種を問わず広く経営というものを勉強しましたという証になるし、(企業からすると嫌な)独立しようという野心までは感じさせません。これが他の士業だとその分野の道に進む以外には資格の効果を発揮できない場合が多いため、通常の就職や転職では評価されづらくなります。

ちなみに診断士(他の資格や高度な専門スキルなし)として食べていく道としては補助金の手続き代行が頭に浮かびます(中にはセミナー講師だけで年間に数千万円稼いでいる人もいますが、それはごく一部の限られた人です)。おわかりだと思いますが、こうした業務に資格は必要ありません。結局は(他の士業もそうですが)客商売です。専権業務を持たない診断士が(診断士として)顧客を見つけるのはかなりの努力と知恵が必要でしょう。私の経験では、中小企業から経営のどこが問題なのか診断してほしいという相談を受けたことは一度もありません。実際にあるのは「この製品を買ってくれる企業を見つけて欲しい」とか「払う金はないけど特許出願したい」という生々しいものばかりです。経営アドバイスが欲しいというより具体的に何か役に立つことをしてくれ、というスタンスなのです。机上の勉強が直接役に立つことはほぼないように感じます。

まあ、資格が取れるかどうかは別にして、勉強はビジネス知識のベースアップにつながります。物事の解決策を導き出すのに間接的には役立つでしょう。また、上述のように転職の武器にもなり得ますので、やる気があれば挑戦してもいい資格だと思います。学習時間は1300時間と言われています(この目安時間をどうとらえるかが分かれ道?)。がんばれば1年でゲットできるかもしれません。

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