本サイトの記事ではなにげに「上場企業」という言葉を使っていますが、上場企業とはどういった企業なのでしょうか?よくわかっていなくても“優良企業”とか“大企業”とか“儲かっている企業”とかイメージした人が多いでしょう。
「上場」というと私が中学生の頃、親がご近所さんとNTT株の話で盛り上がっていたのを思い出します(当時、大きな話題になったので小中学生だった人でも割と記憶に残っていると思います)。「上場」とは株式市場で株式(株主の権利)の売買ができるようになることいい、上場企業とはその株式を発行する企業のことをいいます。
ここではまず、会社設立から上場までの流れを説明してみます(下記1~4)。ラーメン屋でも洋服屋でもなんでもいいので、自分が好きなジャンルにあてはめて考えてみてください。
1.まず自己資金1,000万円をもとに額面1,000円で1万株発行したとします。資本金1,000万円の株式会社が誕生です。この時点では上場したくても審査要件を満たさないので現状、非公開会社ということになります。法的には1円でも設立できますが、やはり先立つものがないとやっていけません。
2.しばらくして会社が軌道に乗り取引先が増えてきました。ここで勝負に出ることを決意。拡大資金が必要です。
3.そこで株式を上場することにしました。これで一般の人が株を購入できるようになります。購入者が支払ったお金が資金となります。株が高値で、また、多く売れるほど資金は潤沢になります。当初、額面1,000円だった株が5万円になれば、所有する1万株のうち半分売ったとしても5万円×5000株=2億5000万円を調達できます(ただし、株式というのは会社の経営権のようなものなので、他人に買い占められないように注意しなければなりません)。
4.厳しい審査を通過したのですから資金調達だけでなく、社会的信用、知名度もぐんと上がります。人材も集まってきます。世間的に上場企業が“大企業”とか“優良企業”とイメージされているのはこうしたことが挙げられます。
ざっくりとはこんな感じです。
なお、株式市場はいくつか種類があり、国内では東京証券取引所(東証)が最もメジャーです。さらにその東証の中に1部、2部、マザーズ、ジャスダックがあります。最も審査が厳しい東証1部がその頂点に位置します。
なお株式時価総額(2017年3月13日)を見てみると、
1位 トヨタ自動車 21.3兆円
2位 三菱UFJフィナンシャル・グループ 10.9兆円
3位 NTTドコモ 10.8兆円
4位 日本電信電話 10.4兆円
5位 ソフトバンクグループ 9.3兆円
すべて東証1部上場企業です。情報源:Yahoo!ファイナンス
ただ、上場するというのは経営権を切り売りするようなものです。株主からあーだこーだと経営に口出しされたくなければ上場しないという判断もあります。
上場していない企業としてサントリーや竹中工務店は有名ですね。このように上場していない企業でも上場企業と変わらない売上や規模を誇る企業は多いです。
ちなみに株式公開(新規公開)のことをIPO(Initial Public Offering)と言います(いろんな試験に出てくる言葉です)。